執筆者:Masataka123
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一人前のCRAとして認められるためには最低でも3年は必要だと言われます。
これは3年経てば、CRAの主要業務をひととおり経験できることから、経験則的に言われていることです。
ただしこれからCRAとして頑張る人や、既にCRAとして頑張っている人にとっては、ただ3年間と言われても具体的にイメージしづらいでしょう。
ここでは特にCROのCRAに必要な能力について、製薬メーカーの側からスキルと知識の2つの観点で考えてみます。

では早速、スキルについて説明します。
まず、CRAには「コミュニケーション能力」と「一般レベルのITスキル」が必要だと言えるでしょう。

特にCROのCRAは、業務を委託している製薬メーカーの臨床開発担当者と密にコミュニケーションをとること。
特に「理解をあいまいにしたまま業務を進めない」ということが重要です。
CRAとして業務を進めていくにあたって、治験実施計画書や業務マニュアル、あるいはメール等に記載されている事項について、複数の解釈が可能となることが多々あります(特に試験立ち上げ時は多くなります)。

例えば、ある試験で「○○という疾患を合併している患者」は除外と治験実施計画書に規定されていたとします。
○○の疾患の合併を判断するのは被験者の問診レベルでよいのか、あるいは各種検査できちんと確定診断したもので判断するのか等、解釈が分かれる場合、きちんと製薬メーカーの担当者とコミュニケーションすることで具体的な運用を確認しておくことが大切です。

また、医療機関の医師や薬剤師、治験コーディネーターなどの医療専門職と良好な関係を築き、GCPや治験実施計画書(プロトコル)を遵守して、質の高い治験を実施してもらうために、積極的に働きかけることが求められます。
特に医師は多忙であるため、限られた時間の中で、要件を簡潔に論理的に伝達する場面も多く、そのためには、高いコミュニケーション能力が不可欠です。

2つ目としてITスキルについてです。
CRAは治験審査委員会(IRB)に提出する書類やモニタリング報告書を、パソコンを用いて作成する必要があります。
試験によってはモニタリング用の特別な資材や、進捗管理用のエクセルファイルを一般的な関数を組んで作ることもあるでしょう。

また、最近はEDC(電子症例報告書)や治験管理用の各種システムを用いて治験データの確認や管理を行なうことが一般的ですので、MS Office(ワード、エクセル、パワーポイント)を使用しての文書作成能力や、一般レベルのIT知識は必須です。

「サーバーって何?」「エクセルは一度も使ったことがない」という方は、業務上、戸惑うことが多くなります。
ITに関しては必要最低限レベルにキャッチアップするためには、関連書籍を読み、個人のパソコンで練習するなど、個人での努力も必要でしょう。

次に知識についてです。
CRA業務はGCP(Good Clinical Practice: 臨床試験の実施に関する基準)に基づいて、業務を実施する必要がありますから、まずは何といってもGCPの内容について、具体的に行動できるように理解する必要があります。
GCPは行政通知を含めた法令上の文章ですから、字面だけを追ってもなかなか頭には入ってきません。

GCPをしっかりと理解するためには、CRA業務を次の表のようにいくつかのカテゴリーに分けて、所属するCROもしくは委託先の製薬メーカーのSOP(Standard Operation Procedure:標準業務手順書)と照らし合わせてみることをおすすめします。

準備段階 初回の依頼申請手続き、契約締結、IRBでの対応、スタートアップミーティング、治験薬交付
実施段階 被験者適格性の確認、原資料の直接閲覧、プロトコル遵守状況確認、症例報告書の回収と点検(EDC含む)、重篤な有害事象対応
その他 担当症例の進捗管理、各種書類作成および点検、社内監査対応、必須文書SDV

GCPでは抽象的な概念として記載されている内容が、SOPではより具体的な行動として記載されていますから、「抽象⇔具体」という間を短期間でいったりきたりすることで、それぞれを単独で読み進めていくよりも、飛躍的に理解が深まります。

またGCP以外に重要なのは、医療業界、製薬業界全般、疾患や薬剤に関する知識です。
具体的なイメージとして、MR認定試験合格に求められる知識は、CRAとしての必要最低限の知識だと認識するとよいでしょう。

上記はCRAの一般的なスキル・知識ですが、この他にも中級/上級レベルのCRAでは、英語での簡単な文書作成や会話、OJTを通じた新人の指導などもできることが望ましいです。

またCRAリーダーは後輩の業務管理や、試験全体の進捗管理なども実施します。
CROのCRAリーダーであれば、クライアントである製薬メーカーの担当者と連絡をとりあうことも多いので、製薬メーカーからの依頼事項をどのようにして確実にチームメンバーに伝達するか、チームメンバーの医療機関訪問にいかに効率的に同行するか、何かトラブルが起こったときの連絡と対応など、自ら主体的に工夫することが求められます。

執筆者のプロフィール

■ハンドルネーム:Masataka123
■年齢:34歳
■転職回数:2回
■経歴:外資系製薬メーカーMR⇒内資系CRO CRA⇒内資系製薬メーカー CRA、現在PL