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EPSインターナショナル株式会社
取締役 シニアヴァイスプレジデント
早川 智久 様


Q.御社はEPSグループのグローバル事業部門として設立されました。現在のグループにおける位置づけを教えてください。

EPSグループは医薬品の開発に関わる業務を中心に、事業の多様化やグローバル展開を推進し、企業の規模を拡大してきました。2015年にはホールディングス体制に移行し、マネジメントを強化しています。その中でEPSインターナショナルはアジアを中心にグローバルCRO、SMO事業の統括を行っています。


Q.御社の強みは、どのような点でしょうか。

我が社の強みは、日本のCRO大手の中で最も海外展開が進んでいることですね。米国とアジアを中心に、海外に複数のオフィスを構えています。この他にもアジア各国の拠点を強固にし、アジアを中心に臨床開発支援サービス、SMOサービスを提供しています。 更に、欧米のCROとの業務提携を強化し、グローバル展開を順調に進めております。 また、グローバルカンパニーで東京に本社があることも強みであると考えています。東京から、質の高い臨床試験を発信してゆくことができる会社です。


Q.高齢化社会や人口減により国内市場の伸びが鈍化していく過程において、国内の臨床試験のみに携わっていたCRAが、国際共同治験に領域を広げたいと転職を希望されるケースが多く見られます。御社にも、そのような理由で転職された方はいらっしゃいますか?

実際、弊社に転職されている人もいますよ。弊社の場合、全てのプロジェクトが海外と関係プロジェクトになります。
CRAとしての経験を積んでPMへ、そして海外勤務へと希望を持つ社員も多くおります。


Q.御社は2015年に日本をヘッドクオーターと位置づけ、日本から海外事業を統括されていますが、なぜでしょうか。

日本の医薬品産業が商業として発展し始めたのは江戸時代。製薬業界のベースとなる基礎研究の基盤をしっかりと持っていますから、製薬ビジネスという点において世界的に見ても日本の業界は他のアジア諸国に比べて優位なポジションにあるのです。他のアジア諸国は、生産技術力があっても基礎研究に長い歴史を持つ日本には追いついていません。医薬品の研究に関するテーマで山中教授や大村教授がノーベル賞を取ったというのも納得できますよね。
また、日本の医薬品の売上金額は、世界でもトップクラスです。魅力ある市場に早期に自社のパイプラインを投入するためにも、当然国際共同試験を展開する製薬会社様を全面的にサポートする事が弊社の大きな使命となります。


Q.グローバル展開を進める上で、潜在的にビジネスを拡大していくことのできるポテンシャルを持っている日本から世界の市場へとアクセスできるため、御社ではダイナミックな経験が積めるということでしょうか。

海外市場を相手に日本主導でビジネスを展開する。また、グローバルプロジェクトの中心的役割を担えるという観点から見ると、外資の日本拠点で働くよりも非常にやりがいを感じられる環境です。
外資の日本拠点で働くというと、グローバルから仕事が雨のように降ってきて、それを工場のようにこなしていくことが求められます。一方で我々の場合は、日本主導で事業開発を行いプロジェクトを受注してオペレーションをクロス・ナショナルに展開していくわけです。


Q.それでは、専門性の高いCRA人材を採用したいということでしょうか。

採用にあたっては、これまでの領域経験や専門性といった点のみを重視しているとは言い切れません。例えば「オンコロジー」に専門を持ちたいなどといった人を否定するわけではないのですが、製薬会社の開発のトレンドが変われば、柔軟に対応できなくなってしまうリスクを考慮していく必要があります。私は製薬会社の時には「オンコロジー」の開発を中心に行ってきましたが、CROに転職してからは他の治療領域でのビジネスを行うことが求められます。CRAの時は色々な治療領域の臨床試験を経験し、プロジェクトを管理するレベルになったら自分が興味のある治療領域で専門性を磨くのも考え方だと思います。


Q.海外とのビジネスを盛んに行っていらっしゃるので、外国語の得意な方が働きたい環境だとも思うのですが。

外資のCROから転職してきた人の話しを聞と、外資のCROよりも弊社では英語を使う頻度や機会が非常に多いということです。とはいえ、英語など外国語のスキルが非常に高くても、相手が言っていることを理解できるという土壌でコミュニケーションが取れないと、相互理解は難しいと思います。

弊社は多くの国際共同治験を手がけているので、社内外の海外の人とコミュニケーションを取っていく中で、我々が考えている日本の状況を海外の人に説明することが非常に重要となっています。国や地域、民族が違えば、習慣も文化も考え方もそれぞれ違う。しかし、歴史的に沈黙を美徳とする文化が根付いている日本社会ですから、日本人の最も苦手とする点なんですね。ただ外国語ができるからというだけでは、必ずしもグローバルなビジネスの環境にマッチするとは断定しがたいですね。


Q.御社におけるキャリアパスを教えてください。

大きく分けると「プロジェクトを管理する」キャリアと「組織・人材を管理する」キャリアがあると思います。どちらのキャリアを選択するにしても「プロジェクトを管理する」ことと「組織・人材を管理していく」こと。この2つを両方身につけていく必要があります。濃淡はあれども、バランスよくどちらも身に付けていただくことで、キャリアパスが開かれていきます。


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Q.つまり、新しいプロセスの構築やマネジメント、管理、経営といった目線で成長していくことが求められているのでしょうか。

現在は皆さん細かいことをよく知っているんですが、逆に全体像を捕まえにくくなってきているんですよね。トレーニングといっても、テクニカルな部分しか教えていないんじゃないかと。人口減で日本市場のプレゼンスが低下しているのは目に見えて明らかです。そのため、グローバルな市場でサバイブしていける人材を育てていく必要に迫られています。

製薬会社は薬というモノを作り販売して事業を営む製造業、CROは臨床開発業務を商品として提供するサービス業になります。そして我々CROが目指すべきなのは、プロセスの標準化などサービス業として安定したサービスを継続的に提供すること。安定したサービスを継続して提供できる体制を構築することが、一つの技術として高く評価される時代になってきています。この辺りを、皆さんになかなか理解してもらえないのが辛いところです。

しかし皆さんも、例えば「CROの10年後の未来は、いったいどうなってしまうんだろうか」などと薄々は感じているんです。私が新入社員の時は100%日本ローカル試験だった、英語はライセンス部門の人が話せれば良かったのが、今のPhase-III試験は国際共同試験が中心である。あるとき、がらりと変わってしまうでしょうね。環境の変化に耐えられる人材を育成することが重要になります。


Q.グローバル規模での環境変化は、好む・好まないにかぎらずその波は容赦なしに押し寄せてきているんですね。このような時流の中で、御社が具体的に求めている人材像とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

新しいことにチャレンジすることを苦と思わない。そして、それが楽しいと思える人ですね。我が社はこれまで、チャレンジする人を採用してきました。ただし、冒険家ばかりでは組織が成り立っていきません。そのため、今後は安定志向の人も積極的に採用していきたいと考えています。正直に言えば我が社はリソースが揃いつつあるので、働きがいのある良い環境だと思いますよ。

ベーシックなところでは、人とのコミュニケーション能力に長けていて、柔軟性が高い人を切望しています。また、看護師の方も良いんですよね。特に臨床試験の立ち上げでは、プロセスの作業を効率化しようとすればするほど、施設の内情に精通した看護師の可能性を期待します。


Q.人材育成をどのように捉えていますか。

弊社に新しく入社された方に研修するようにしているのですが、私の場合、プロジェクターやパワーポイントではなくホワイトボードを使って説明しています。敢えて予備校の先生のように「手書きで書く」というアナログな方法に徹することで、研修を受けている人の理解度を測ることができるんです。情報のズレがないかなど、相手の状況を確認しながら研修を進めていきます。

例えばお金持ちになりたいからといって、成功者のハウツー本を読んだところでそうはならないでしょう。その人の背景部分を読み取らなければ、ノウハウだけ真似しても成功しません。研修もこれと同じで、その点について若い人にしっかり説明してあげないとダメなんです。そもそも、組織を管理する人やリソース管理の中心にいる人が、こういうことをきちんと説明できないといけないと思っています。


Q.日本のCRA若手人材は、将来に対する危機感や準備が足りないということでしょうか?

そんなことはないと思いますよ。例えば将来に備えてMBAを取得するため、大学に通っているオペレーションの人も一部にはいらっしゃいます。それから、遊ぶことも大事ですね。特に若いときには遊んでおかないと。


Q.テクニカルやロジカルな部分だけではなく、人間力そのものを磨きましょうということでしょうか?

大きい会社は組織を管理するシステムが優れています。しかし仕事において、結局のところ、やはり最後は「人」と「人」なんですよ。

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Q、最後に転職を考えてらっしゃる方にメッセージをお願いします。

弊社は、今後も顧客や時代のニーズに合わせて常に成長することを目指しております。これがEPS (Ever Progress System)の精神であり、ここで働く人も成長していくことが求められます。私を含めて一緒に人間として成長していきましょう。