*F:ファシリテーター

株式会社インテリム代表取締役
浮田哲洲社長


F:浮田社長にお伺いします。インテリムを創業した経緯を教えて下さい。

浮田社長:創業は2005年8月。起業前は、海外でシンクタンクに勤務していました。日本でCROが定着してから20年経ちますが、創業当時、後発である当社が新規参入するにはハードルが高い業界でした。そこで、他社の主流であったマンパワーだけを提供するビジネスモデルではなく、私の前職であるシンクタンク方式でのCROが将来的に出てくると見据え、その方式で創業したのです。

F:そのなかでオンコロジーに注力しようと思った理由は何でしょうか?

浮田社長:当時の国内の製薬メーカーは生活習慣病など、開発品目のほとんどはプライマリー領域が中心でした。しかし、様々な観点から今後はアンメットメディカルニーズの分野で各社がしのぎを削って行くだろうという事を想定し、その場合に一番差別化できる領域はオンコロジーであると考え、力を入れていく事にしました。

F:なぜ、西條先生に顧問をお願いしようと思われたのですか?

浮田社長:後発企業が特色を差別化するためにオンコロジーという候補領域の絞り込みをした後、当社独自のスキームを構築する必要がありました。その構想に応えていただけるKOLの先生ということで、お願いすることにしたのが当時近畿大学の特任教授としてご活躍されていた西條先生です。当時のインテリムはまだ知名度がなく、オンコロジーの実績も少なかったので、社内では『会ってもくれないだろう』という声もあったのですが、とにかく行って断られたら次の手を考えようということで、他の方は考えていませんでした。

日本臨床腫瘍学会 特別顧問
西條長宏先生


F:西條先生、顧問就任の依頼があった時はどのように思われましたか?また、引き受けようと思われたきっかけについて教えて頂ければと思います。F:西條先生、顧問就任の依頼があった時はどのように思われましたか?また、引き受けようと思われたきっかけについて教えて頂ければと思います。

西條先生:私はもともと抗がん剤の臨床開発、診療ガイドラインの作成等々に関与しておりました。当時は国立がんセンターから、私立大学に移りある程度、制約も少なく自由になった状況でインテリムの顧問就任についてのお話を頂きました。
その時、臨床試験に関する様々な知識を共有して協働することで、抗がん剤開発をより科学的かつ効率よくできるかもしれない。非常に興味深い話だと思いました。 オンコロジー領域では現在国内に、JCOGという官製の臨床試験グループがあります。1990年に初めてデータセンターができましたが、その当時はマネージャーが一人という状況でした。
従ってCROのような組織(インテリム)は臨床試験を行う上で非常に重要という認識がありました。

また、先ほど浮田社長が指摘されたように20年くらい前(1996年頃)に、オンコロジー領域のCRCの必要性が問われ出しました。そして1998年に出た新GCP適応する推進モデルに基づき都立駒込病院、聖マリアンナ医科大学にそれぞれ薬剤師の方1人、看護師の方1人計4名のCRCが誕生しました。
その後10年余り経過した時点で実際治験を専門とする会社と国立がんセンターのようなところで働くCRCの業務の違いを見てみたかったという事も引き受けた要因のひとつになります。

F:浮田社長、インテリムは2011年11月1日より西條先生が特別顧問として就任され、翌月の12月にオンコロジー開発部を発足されていますがその経緯について教えて下さい。

浮田社長:オンコロジーのスペシャル部門を立ち上げる中、フックになるポイントや特色として考えたことは、社内で教育プログラムを作り、その中で西條先生の口頭試問にパスした者だけがサーティフィケイトを取るという内容でした。

これからのオンコロジーの治験は日本だけではなく、アジアンスタディやグローバルスタディがどんどん標準化されていく事を想定し、オンコロジーの開発部を立ち上げ、同時にアジアの拠点の整備を社内で進めていきました。
そして、国内だけではなく海外でも通用するオンコロジーのスペシャリストを育成する必要があると考え、当初は日本の社員だけを考えていた育成対象を、2012年以降、台湾と韓国にもその対象を広げました。

当時、日刊薬業のインタビューを受けた時、今後のオンコロジー戦略について聞かれ、「3年以内に50名のオンコロジーのスペシャリスト認定者を育成する」と答えたことを覚えています。結果として3年後、計画通りに50名以上のオンコロジースペシャリスト認定者を育成することができましたので良かったと思っています。
このように、中長期的に様々なことを計画し実行していこうという雰囲気が当時からありました。

F:西條先生、オンコロジー開発部のCRAやPLは先生に監修して頂いた資料で研修を受けスペシャリスト認定およびエキスパート認定を取得しておりますが、このような社内認定制度を設けることについてどう思われますか?

西條先生:何らかの資格を持った人たちを育成することが重要だと考えました。どのような教育をすれば良いのだろうかと。そこで、製薬メーカーの開発部やMA(Medical Affairs)部や営業部がどんな教育をしているかをリサーチしました。
他社で欠落している部分、カバーしなければいけない部分を把握し、そこから偏りを是正した研修資料を作成したのです。
そうすることで臨床腫瘍学全般を理解することができ、より適切な薬剤開発に結び付くのではないかと考えました。
我々医師の場合は学会が認定していますが、今後は認定機構が認定する形になると思います。また、企業の社内認定制度についても、今後は日本製薬医学会などがその会社の認定制度自体を承認するような形になるのではないでしょうか。

F:浮田社長、この制度を導入して変化はございましたか?

浮田社長:最初はCRAのみを対象にしていたのですが、QCや、データサイエンス関連、薬事部門にも対象を広げました。
というのも、頂けるプロジェクトが増えたこともそうですが、今後モニタリング業務のみの受託だけでなくフルパッケージのプロジェクトも増えてくると想定しており、クライアント様の要求に応えられるだけのクオリティにしたいと思いがあったからです。

最初は、西條先生の名前を出しても、名前だけの顧問じゃないのか?と言われたりもしましたが、認知が広がるにつれて、声がかかるようになりました。
実際、治験するにあたり、「ノウハウがないので社内(製薬メーカー)のモニターやMRに研修をしてくれ」という依頼も数多く頂くようになりました。

オンコロジーの部門を立ち上げた時から、開発だけではなく、承認後の販売戦略や育薬領域も将来はカバーしようと考えておりましたので、すべての工程をオンコロジストとして依頼者の要求に応えられるクオリティになっていますし、今現在オンコロジーと言えばインテリムという認知が口コミで広がっていったのだと思っています。実際、先行する日系大手のメガCROとのコンペでも、最近は当社がアワードするケースが増えています。

F:西條先生から見てインテリムは他のCRO会社と違うなという印象はございますか?

西條先生:こういう見方は正しいかどうかわかりませんが、製薬メーカーでMRを経験された方がCROを立ち上げているケースが結構あります。その場合の問題はクローズドサーキットの中で物事を考えることが多く視野がわりと狭いという点があげられますね。
あまり多くのCROを見たわけではありませんが、開発のところ(モニター)だけやっていて他の部門にはなかなか目を向けない傾向があります。
そこはインテリムと他のCROとの大きな違いだと思います。
これはやはり社長の経歴が他のCROの社長とは違うという点にあるのではないかと思っています。

Part2:インテリムのMSL戦略についてはこちら

Part3:これからのがん治療薬の開発についてはこちら

Part4:インテリムの今後のビジネス展開ついてはこちら