インタビュアー:医薬品開発市場の今後、モニターのキャリアについてお伺いさせてください。小嶋さんから見て、製薬業界のCROはこれからどうなっていくと思いますか? またそれに伴い、CRAの役割もどのように変化するのでしょうか?

小嶋氏:最初の頃は、製薬会社に独自ノウハウがあり、モニターに委託するのは、仕事の中ではどちらかというとマイナーな仕事で、手が回らないところだけをお願いするというのがスタートでした。

今は自社のモニターを育てるのは大変なので、全部お願いしよう、という考えが主流です。ただ、そこの難点は、内部のことを何も知らない人がコントロールしてしまうということです。頼んだモニターがちゃんとした人ならいいのですが、そうでなければ困ったことになります。その問題をどう解決するのかが課題です。

これはGLPでの動物治験と同じです。最初は、自社で全部やっていたのが委託するというシステムに変わり、同じことが起こっていました。今は自社でやっているところはほとんどありませんし、開発も今後、依頼することがさらに増えていくでしょう。

インタビュアー:そうなると、CROの需要は更に高まるというところに繋がります。

小嶋氏:ただ施設側の人から見ると、モニターの質が下がったということが言えるでしょう。

システマチックにこなせるようになっていることから、単なる請負になってしまって、プロトコルの中身や歴史も分からないというモニターもいます。

また、上手くコミュニケーションがとれないモニターだと、トラブルが起きたら何も解決できないことになってしまうので、そういう面で心配です。あまりにも細分化しすぎて、誰の責任で動いているのかがはっきりしなくなる傾向があります。

インタビュアー:プロトコルの裏側の開発の歴史、実際の申請にあげていく中で、製薬メーカーは承認して終わりではなく、いいデータを作るためには各症例のクオリティを担保しないといけませんね。

小嶋氏:上手いプロトコルを作って、上手い症例をやれれば問題ありませんが、症例が得られない時に、クライテリアがある中での読みかたをどうするのか、モニターと企業との間でどこまでをオッケーにするのかしないのかという、プロトコルに書かれていなくてもやらないといけない、やってはいけないことがいろいろあります。そういうところまで実際に理解してできることを確保するのは難しいです。

インタビュアー:例えば循環器の薬のフェーズ3と、悪性リンパ腫のフェーズ1では全く試験の質が違います。後者が増えていく中で、先ほど小嶋さんが仰っていた質の担保について、どう考えますか?

S氏:治験の質の担保という面からも、RBM・QMSという考え方が導入されるようになってきていますが、各CRAがそれらをどこまで理解して、各施設、プロトコルに落としこめるのかという問題もあります。

『RBMの考え方に基づいて(依頼者からの指示通り)このようにやってください。』とお願いしても、施設毎、プロトコル毎に事象が異なるので医療機関から見れば『施設の実態に合わず、受け入れられない。』となります。なので、各施設の事情等も考慮した対応が求められると思います。

インタビュアー:RBMは経費削減のための手段がオリエントであるという見方があります。施設によって対応の仕方も違いますし、ビジットのほうが重視される傾向があります。RBMの必要性について、どう考えますか?

S氏:RBMの必要性ついては、グローバルと日本の事情が大きく異なっています。日本人の患者さんは治験薬を渡されて全部飲みません。

海外の患者さんは、変わった方だと色々工夫して飲むということもあり、後からとんでもないことが判明することもあります。FDAやEMAには、そうした事態を避けたいがために、RBMを必要としているところがあります。日本の当局とは考え方の根底が違います。

インタビュアー:S様、今後のご自身のキャリアビジョンはどう考えますか?

S氏:ジョブローテーションで視点が変わりました。他部署に行けばまた視点が違うし、そういうことを経験して、幅広い知識を持つのが自分の中ではベストなキャリアプランだと思っています。