執筆者:Masataka123
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最近、製薬業界では高薬価薬剤の特例引き下げが話題になっています。
また、大手の医薬品メーカーの収益の柱となっていた長期収載品が続々と特許切れを迎え、メーカーの利益を直撃しています。
薬剤の特許が切れれば、ジェネリック医薬品が発売され、新薬メーカーはその分、利益を奪われます。
業界は今までに迎えたことのない大きな収益構造の転換期に直面しているのです。

2010年頃までは、国が様々な普及策で後押ししたにも関わらず、国内でジェネリック医薬品はなかなか普及しませんでした。
当時の日本では特許が切れてもジェネリックにすぐに切り替わらなかったため、メーカーの売り上げが急激に減少することはなかったのです。

しかし現在、日本政府は、医療費削減のため、以前とは比べものにならないぐらい積極的にジェネリック使用を推進しています。
また、海外、特にアメリカは2010年当時から事情が違いました。アメリカの医療日は日本のような社会保険ではなく民間保険でまかなわれています。
民間保険はコストにシビアですから、コストの安いジェネリックが発売されれば、先発品はまたたく間にジェネリックに置き換わっていきます。
某外資系メーカーの抗アレルギー薬は、1年で9割ものシェアをジェネリックに奪われました。

現在、国内大手医薬品メーカーの海外売り上げ比率は50%を上回っており、ここ数年の大型品の特許切れにより、海外売上高の大幅な減少に直面しています。
また、自社オリジンの化合物がなかなか臨床ステージに上がらず、パイプライン不足に苦しんでいるのです。

そのため、大手メーカーは既に何年も前から自社の大型医薬品の特許切れに対して、事前にさまざまな対策を打ってきました。

その対策のひとつが他社からの開発品の導入です。
莫大な手元資金により、武田薬品、アステラス、エーザイなど数百億円を超えるレベルでのバイオベンチャー買収が続きました。
優良な化合物をもつ他社の化合物を導入することで、手っ取り早く開発パイプラインを強化することができます。

そしてもうひとつの対策が、既存薬の延命です。
同種薬との合剤の開発や、適応拡大、新剤形(口腔内崩壊錠など)の開発です。

みなさん、上記2つの対策を読んで、なにかお気づきになったでしょうか。
そうです。いずれも、臨床開発の仕事は大幅に増えるのです。
ベンチャーから購入した開発品目については新たな開発計画を立ててなるべく早く市場に出せるように、臨床試験を実施しなければなりません。
そのためには今まであまり自社でノウハウのない希少疾患やがん、中枢神経系などの領域で、常にスピードとクオリティーを意識しながら、開発を進めていく必要があります。

合剤の開発や、適応拡大でも同じです。既存の薬剤の特徴を十分に生かしつつ、プラスアルファの付加価値をつけるため、常にマーケットを見据えた的確な臨床開発計画が求められます。 そのため製薬会社では今までよりも、より機動性の高い臨床開発人材のマネジメントを意識するようになりました。
自社の人材だけでは、ベンチャーから導入した薬剤を迅速に開発するといった急激な動きに対応するのは難しいのです。

製薬会社のアウトソーシング、特に臨床開発業務のCROへのアウトソーシングは今後も進むでしょう。
日本でのCROへのアウトソーシング率は、海外と比較してまだまだ低いので、今後は海外なみに伸びていくということも期待できます。

また、がん、中枢神経系、再生医療、希少疾患、国際共同治験などについては独特のノウハウが必要ですので、経験を積んだCROであれば製薬メーカーのよきパートナーとして存在価値を発揮することも可能でしょう。

執筆者のプロフィール

■ハンドルネーム:Masataka123
■年齢:34歳
■転職回数:2回
■経歴:外資系製薬メーカーMR⇒内資系CRO CRA⇒内資系製薬メーカー CRA、現在PL